江差高校で今年から始まる新授業「地域学(南檜山学)」は、地域学習を通じて社会を知るための実践的な授業です。
かもめ島マリンピングではかねてより「地域の学生や子どもたちと何かに取り組みたい」という強い思いがあったのですが、このたび江差高校の生徒さんたちと共に町の体験商品を作り上げる「学校連携」プロジェクトを始めさせていただけることになりました。
1年間の授業の中で1年生の皆さんと「教育旅行用の体験プログラム」のアイデアを出してもらい、それをもとに企画→シミュレーションというかたちでトライ&エラー、スクラップ&ビルドを何度か繰り返しながら作り上げていきたいと思っています。
5月18日に初授業、「観光業と江差」について
午後の5時限目、体育館に集まってもらいました。
運営事務局が日頃業務として取り組んでいる「江差の観光振興」について、そして「かもめ島マリンピングとは」「観光資源としての海のすばらしさ」「江差町やかもめ島の魅力」などについてスライド上映で紹介。
観光業に携わる人たちの日々の取り組みや、運営事務局スタッフの人となりを紹介しながら、わかりやすく江差が保有している観光資源・海洋資産の解説をさせてもらいました。
今回作り上げる体験プログラムのテーマは、「江差の海の魅力を伝えるための教育旅行(中高生)向け体験プログラム」。
教育旅行とは「修学旅行」「研修旅行」「遠足」「課外授業」「校外学習」など、学校単位・クラス単位で動く学習のための旅行のことを指します。
江差には現在、このような規模の生徒の宿泊を受け入れる大型施設がありません。そのため、普段から江差を訪れる教育旅行の滞在時間は決して長くはなく、コースも開陽丸記念館や追分会館などの見学といった従来型の「モノ観光」であり、宿泊を伴わない「通過型観光」なのです。
宿泊ができないことは「物理的事情」で変えようがありません。しかしながら、学校での学習指導要領も変わり、年々「体験」や「実践」に重きを置く学校が増えつつあります。
では江差はこの変化に、どう対応するか?
大丈夫です。
江差には豊富な「歴史文化」「海洋環境」「ひと・コミュニティー」などの、体験に転用可能な観光資源がたくさんあるのですから。
「モノ観光」から「コト観光」へのシフトは可能です!
2時間程度の体験プログラムで、江差の海の魅力を伝える方法は、きっとたくさんあるはずです。
この時間にお伝えした内容は、ざっとこのようなところでした。
実際にアイデアを出してみよう!
次の時間は2クラスに分かれて、アイデアにたどり着くためのワークシート作成。自分の中の「江差」や「海」、「まちの観光課題」についての認識を分解しながら、自分が体験してみたい教育旅行のモデルを考えてもらいます。
ここが重要で、まさに同世代である江差高校生が考えることに意味があるのです。
大人たちが周到に準備したルートやストーリーもいいのですが、それを十代の子どもたちが素直にかつスムーズに吸収できるでしょうか?崇高な教育目標があっても、それを伝える過程が難解では伝わりにくく、往々にしてこのような問題は長く教育の現場で叫ばれてきました。
この現象、私たちも良く陥りがちです。思いや顧客への愛が強いあまり、伝えたいこと・体験させたいことが多岐に渡りすぎると、思ったようにカスタマーに届かないものなのです。
まずは「江差ならではの楽しいこと」「自分がやりたいこと」「海に関わること」に主眼を置いて考えてもらうことにしました。あとのストーリー立てや学びの得方については、それからじっくり考えればいいのです。
この取り組み、当然1日では完結しません。
6月の頭にいったん生徒さんたちのワークシートを回収し、運営事務局のノウハウやネットワークを活用しプロトタイプを準備します。
夏には一度、みんなでかもめ島に集まって、シミュレーション・テストを実施したいですね。
生徒たちの目の輝きは、このまちの財産
この日を終えての講師を担当した宮崎・竹内両スタッフの一番の感想は
「子どもたちの目の輝きに圧倒された」
ということです。今の子どもたちはお利口さんで大人しい、なんて勝手に思い込んでしまってました。私たちが発言するたび、キラキラした目でじっと見つめてくる生徒たちに、若干こちらが照れてしまいました。場を和ませようと所々で挟んだ雑談や寒いジョークにも思いのほか反応してくれました。発言や質問も盛んで、江差高校の「学ぶ意識の高さ」を体感することができ、とても嬉しかったです。
これは、いいものができそうです。