2022年度、町内の小学5~6年生を対象に年4回開催中の「みらいジュニア研究員」。 第二弾となる夏の講座が7/30(土)に開催されました。
北海道大学の助教授と学生さん・留学生の皆さんと共に作り上げる、本格的な「海洋教育」の実践。
夏版では、様々なハイテクを駆使した「地域の海の生産性調査」「海の健康調査」に挑戦!
ドローンでハヤブサの休息地の観察に成功、沿岸藻場データも撮影!
新たな参加者1名に、前回未参加だった「江差協力隊(北大生さん)」2名の合流を加えてスタートを切った夏版。
島の海水浴場であるエビス浜の奥に点在する野鳥の営巣・休息エリアに向け、ドローンを飛ばしました。フンの痕跡が残る岩礁部にてハヤブサの姿を確認、休息地として使用している窪みの撮影にも成功しました。鳥と海の豊さとの関連としては、豊かな藻場→小魚→海鳥→猛禽類という食物連鎖がこのエリアで完成していることを理解してもらい、その他の海鳥や渡り鳥の名前も覚えながら、地域の海の豊かさの一端を一緒に垣間見ることができました。
長期的な藻場面積の変遷データを蓄積するために今回から始めた沿岸藻場撮影では、綺麗なコントラストを見せる上空からの沿岸の様子を確認。地域の綺麗な海への愛着が生まれたようで「キレイ!」といった声や「どうしてはっきりとした藻場の境界線ができるの?」等といった質問が飛び交っていました。
せっかくの夏、海に入って生き物観察!
海水浴場の開設期間と重なる夏版では海遊びや磯遊びも実践させたかったため、海水浴場エリアおよび岩礁部では水に入って生き物採集もしてもらいました。
躊躇なく海辺に繰り出す江差っ子たち。中には今年初入水の子どももいましたが、多様な生物観察と採集を通じて、子どもらしく海と仲良しになっていました。
水中ドローンで、いざ江差の海の中へ!
では、足のつかない遊泳禁止エリアの海の中は、いったいどんな様子でしょうか?全員で水中ドローン操縦に挑戦です。
水中ドローン投入直後から、藻場周辺を泳ぐ綺麗な魚群の観察に成功。魚を追って、どんどん沖へ向かって機体を操ります。
日差しを受けキラキラ輝く魚群をモニター越しに見つめる、子どもたちの目も輝いています。非常に感動的な体験だったようで、スタッフや学生さんたちに感想を話してくれる子どもたちの生き生きとした笑顔がとても印象的でした。
SUPを利用した、新しい海洋環境調査の手法を構築!
水中ドローンでも観察できた、海底の「ハスノハカシパン」。海の生産性を知るうえで欠かせない生息密度調査では、通常アクションカメラを船上から投下しますが、江差バージョンではSUP(立ち漕ぎボード)からの投入に変更。より機動性の高い独自の調査手法を構築することができました。
観測データは北海道大学チームが持ち帰り、現在解析中です。
顕微鏡観察にも挑戦、先生の楽しいお話にワクワクがとまらない!
海の生産性を調査しながら地域の海の豊かさや健康状態を知る夏版の趣旨に合わせ、藻場(魚のお家)とプランクトン(魚のごはん)のお話をする東条先生の特別授業。
アラスカで行ったプランクトン量と分布の調査や、モーリシャスの海洋汚染環境回復プロジェクトの中で撮影された「サンゴがプランクトンを食べる音」の動画、ドローンの代用としてカイトを使用したセントルシアでの藻場調査など、様々な海洋調査の手法や成果を豊富な資料を交えて紹介してもらいました。海水浴客で賑わう拠点周辺でしたが、室内だけは国際色溢れるグローバルな世界になり、先生の質問にも積極的に答える子どもたち。研究員としての意識に、更に火が付いたようです。
この日の調査結果の手ごたえとして、先生が「江差の海は豊かで、健康です!」と所見を述べると、一様に笑顔になる子どもたち。デジタル顕微鏡でのプランクトン・小型生物の観察にも成功し、新しいこと尽くめで最先端技術にも触れられた「みらいジュニア研究員 夏」。
秋版では「食育」も導入し、更に地域の海についての理解を深められるように準備中です。