これまでで一番多い計19名の参加者と一緒に展開した「秋版」。今回はまず、参加したみなさんのお声から紹介します。
・知らなかった海のことをたくさん知れた。
・鍋、おいしかったよ。
・大きいヒラメやアオリイカが見れてよかった。
・みんなで笑ってご飯を食べて楽しかった。
・来年も参加していいですか?
・住んでいても行ったことがない場所に行けて新鮮でした。
・地域の良いところを知ることができました。
・海のない市町村でも出張開催してほしい。
・今後は、海プロのイベントなら何でも参加したいです!
・中高生にもぜひ提供してあげてください。
・こんなに素敵なイベントが無料なのは申し訳ないです。
過去最高の評価をいただいた秋版の様子をご紹介します。
拠点のかもめ島を飛び出して「地域漁業バスツアー」へ!
これまで「春版」「夏版」の2回、かもめ島の生物データ収集に励んでくれた研究員のみんなに、より深い地域の海に関する体験と学びを提供したい!そんな気持ちから、「秋版」ではみらいジュニア研究員が活動拠点としているかもめ島を飛び出し、地域漁業を見て理解する「バスツアー」として実施しました。
折しも定置網による秋サケ漁が始まったばかりの江差町。最初に訪れた泊漁港では、初水揚げということで漁獲量が少なめで早い時間に市場へ運ばれてしまい水揚げの現場見学とはいきませんでしたが、地元の漁師である能登さんから「今年の秋サケ漁の展望」や「定置網の仕組み」「江差の海の環境の変化について感じること」など、貴重なお話を聞くことができました。
今回の「秋版」では、海の学びシートという質問方式の記入表を持って活動した研究員たち。特に泊漁港では能登さんへの質問から、「砂浜の砂が建設資材として搬出されてしまうために定置網を仕掛けるのに最適な砂地が減りつつある」という地域漁業が抱える課題について聞くことができました。
「漁業のことを考えるときに、漁業以外にも目を向ける必要があるんだね」という大切な気づきを得ることができました。
次に訪れた市場では、ひやま漁協さんのご厚意により場内をゆったりと見学する時間をいただけました。この時期に獲れる旬のヒラメやタコに大きなアオリイカ、ナマコ種苗の養殖設備も見ることができ、対応してくれた漁協の中川さんにはたくさんの質問が飛んでいました。市場の役割についても教えてもらうことができ、学校の授業を飛び越えた学習にもかかわらず子どもたちはしっかり理解し、学びシートに記入をしていました。
漁協さんから託された「長期磯焼け定点調査」の命に着手!
さまざまな要因で藻場が減少し、海洋環境の悪化や生産性低下につながる「磯焼け」。各専門機関が研究・調査を進めているところですが、地域の漁師さんが求めているのはよりローカルな「周辺の磯焼けデータ」です。現象が長期間を通してどのように変遷し、何が原因なのかを推測するための映像データを蓄積して皆で考えてもらえないか?という大事なミッションをひやま漁協さんから頂くことができたため、この「秋版」から着手することにしました。
水中ドローンで観察した磯焼けスポットは「ウニの一時放流」による食害の影響によるものですが、最適な観察地でまずは実態を確認することができました。
続く、ドローン空撮の定点ポイントに定めたかもめ島南端のポイントは漁師さんでも磯焼けの原因がわからないエリアで、本来であれば漁場として活用したい場所でもあります。今後、調査を進める中で「食害」「地形・海流」「水温・水質」「砂の流入」などの要因を推測し、調査のエリアを海上や沖合にまで広げることも視野に観測・データ収集を続けていきます。
バスツアーの最終目的地である町内柏地区の海岸は、綺麗な砂浜が続くロングビーチ。藻が多く海水浴には向きませんが、かもめ島マリンピングらしく「ビーチを活用した観光振興・地域おこしのアイデアを考えてみよう」というテーマで訪問しました。子どもたちも「トイレ設備や海の家が欲しい」「サンドアート大会」「海ゴミアート」など、とても面白そうな意見を出してくれました。
東条先生の特別講義「旬の魚の冬じたく」
バスツアーを終え、一行は江差漁村センターへ。北海道大学国際教育室 東条先生の特別講義は「魚にも冬ごもり(ウィンタリング)があるって、知ってた?」「冷たい海水が得意な魚(コオリウオ)の生態」などなど、毎回のことですがスケールの大きなワクワク感のある内容の講義を展開。途中、サプライズでJICA(国際協力機構)の方々9名を一部見学にお招きして当イベントと東条先生が目指す「グローバルな感覚を身につける場の提供」にもお手伝いを頂き、国際色豊かな会場となりました。
講義では「コオリウオは赤血球がない」「肺呼吸をする魚がいる」等、それぞれが魚についての新発見を身につけてくれていました。
秋サケ捌き体験&旬の魚で石狩鍋(食育)!
朝早くからの活動でお腹が減り始める研究員のために用意した最終セクション。「サケの解体見学」「サケについての質問タイム」「切り身捌きに挑戦」「石狩鍋で昼食」の流れで、魚の体内構造やサケならではの生態、旬の海の幸を楽しむ喜びの提供を目指しました。
アニサキスの実物を目の当たりにして「どうやったら安全に食べられるの?」「どうしてサケの身はピンク色なの?」「なぜサケは秋が旬なの?」など、学びシートを基に積極的に質問をぶつける研究員たち。
江差っ子でも経験の少ない「切り身捌き体験」も、やはり海の子、みんな上手にこなしていました。
昼食提供も、普段地域の子どもが食べ慣れている塩味ペース(三平汁)でなく、味噌ベース(石狩鍋)にしたことが、期待通り功を奏しました。新鮮だったようで6杯もおかわりをした研究員もおり、私たちの願いである「旬の魚を食べることで地域漁業に愛着を感じて欲しい」という食育のねらいも、うまくはまったようです。
これまでの3回の活動の中で、最も保護者の方の評価が高かったのが、この「秋版」。研究員たちもお腹いっぱいで眠くなる中でも名残惜しそうにしていたのが印象的でした。
学びシートの活用で、より多くの海の学びを得た印象の「みらいジュニア研究員」たち。
無事終了してまだ3日しか経っていませんが、もはや「みらいジュニア研究員ロス」に陥っているスタッフ陣。
最終となる「冬版」でこれまでの活動をしっかり総括し、全員で町長から「認定証」をもらえるように頑張ろうね!