”子どもと大人が関わる”を第一に、社会性を身につける実践授業として2022年度から江差高校で始まった「地域学(以下、南ひやま学)」。
江差高校に集まる生徒たちが暮らす
乙部町[Otobe]
上ノ国町と旧熊石町[Kaminokuni,Kumaishi]
厚沢部町[Assabu]
江差町[Esashi]の連携で行われている
地域学[Regionoligy]ということで『OKAERe南ひやま学』と銘打って進められています。
その駆け出しで光栄にもお声がけいただき、表題名にて一緒に活動をさせていただく事に。
効果的な授業として何が提供できるか、熟慮を重ねた結果、生徒たちと「教育旅行向けの体験プログラム作成」をする1年にしました。
「地域の観光振興を自分ごととして考えられる」
「高校生が考案したプログラムを他校の同世代が体験する」
なんて夢のある話でしょうか?
私たちの1年の成果をご覧ください。
1年間の活動で、3つの「教育旅行向け体験プログラム」案が完成!
教育旅行で江差町に立ち寄ってくれる学校向けに提供可能な体験プログラムを、同学年の高校生の目線で作ったら面白いのでは、という考えから始動した「江差高校 地域学×かもめ島マリンピング」学校連携プロジェクト。今年から江差高校で始まった「地域学」の授業は、町民や団体・町内での取り組みに生徒が直接触れることで、地域の「魅力」や「課題」について学んでいく授業です。これまで何度かの授業の中で体験プログラム構築を進めながら、江差町とかもめ島の魅力について考えてきました。チームに分かれての「ワークショップ」、かもめ島での「現地確認」と「プレゼン合戦」「意見集約」など、実際に体験プログラム案が採用に至るまでの行程を体験してもらいながら、このたび3つの優良案が採用される運びとなりました。江差高校体育館にてスライド上映で行った成果発表会では、最終段階まで進んでいた3案が全て採用に至ったという報告を受けて、生徒たちから大きな拍手が上がりました。
生徒たちが1から作り上げた体験プログラム案を紹介します
■海を「知る」江差追分ガイド
江差が誇る民謡「江差追分」を題材に、海が文化の成り立ちに与えた影響と、かもめ島の海の特色を知ってもらう2時間のガイドウォークです。ただ聞くだけの単調な内容にならないよう、ポイントごとで「追分クイズ」を出したり、歌詞を現代口調に「翻訳」して楽しむなどの工夫を取り入れています。歴史・文化を「過去の他人ごと」として聞くのではなく、「現代の自分ごと」として吸収してもらえるように考えてくれたところが、このプログラムの長所です。
■海に「触れる」アドベンチャー・ハイク
かもめ島マリンピングが地域の小学生と取り組んでいる別プロジェクト「みらいジュニア研究員」で作成中の生物マップとノウハウを活用して、島の動植物観察をしてもらう2時間の自然体験プログラムです。自由時間を多く設け「自主性ある活動」をしてもらう事に主眼を置いたプログラムになっています。「カニ釣り」や「水中ドローン操縦・観察」「磯遊び」などの実践体験も豊富です。他プロジェクトとの連携が図られた発展志向のプログラムとしても期待できます。
■海を「想う」シーグラス・アート
人気のシーグラス収集を島の3つのビーチで行ってもらい、「海洋環境保全」「海洋ごみ問題」などを訴える貼り絵アートを作成してもらうというクラフト体験系のプログラムです。訴えるテーマを考えながら収集をしていく過程で、テーマについてより深く考えながら作品を創りあげてもらえるよう、随所でスタッフが解説を行いながら進めます。学生の参加意欲を掻き立て、興味も持ちやすい「シーグラス収集」を海の学びに上手に落とし込んだプログラム内容となりました。
たくさんの授業時間を割いてもらい、完成までたどり着きました
完成までの道のりは以下の通りです。
●5/18(水)初回授業
→プロジェクトの説明と、自分が提供したいと考える江差ならではの「体験プログラム」案のワークシートによる回収を行いました。
●7/19(火)プログラム構築
→初回授業ワークシートより厳選した優良案3つを、チーム分けで分担(各案2チームずつの計6チーム編成)し、2時間のプログラムの骨子を固めて、プレゼン時の役割分担も決めました。
●10/14(金)かもめ島プレゼン合戦
→3つの案ごとのグループに分かれて実施。各チームは同一プログラム担当チームへ向けて実地プレゼン。互いのプレゼンの中から良かった部分を出しあって最終の形に近付けました。
●12/2(金)成果発表会
→プレゼン合戦でまとまった最終案を、かもめ島マリンピングが観光業者目線で商品化した内容に整備し発表。ちなみに、自分たちの担当したプログラムが採用されているかは当日までわかりませんでした。
このほかにも定期的にホームルームなどにお邪魔させてもらいながら、一緒に組み立てていきました。生徒たちは自発的に取り組み、「同学年が有意義と感じられる内容はどんなものか」「どうやって海の学びを提供するか」について深く考えてくれ、この「地域学」の目的をしっかり体現してくれたというのが、かもめ島マリンピングと江差高校の感想であり、大きな成果であったと満足しています。
早期販売に向け、着々と準備を進めていきます
小規模単位での早期実施に限ってですが、受入できるよう公式サイトにて募集掲載を開始して運用を進めていきたいと考えています。体制が整い次第、ホームページ内にも登場するはずですので、どうぞお楽しみに。併せて、売り込み等も積極的に行っていこうと準備中です。
1年の活動で得られた生徒・教員の皆さんの感想や声
●生徒たちにとって、とても楽しい授業でした
●現状は座学主体の地域学授業にあって、体験型の授業を提供してもらいありがたかった
●地域や海の事を知ったり考える、良いきっかけになった
●1年の活動は終了したが、イベント参加などで今後もかもめ島マリンピングと関わっていきたい
●自分の意見が採用されて嬉しかった
●意見は採用されなくとも、最終的に全員が採用案に関われたため達成感と成功体験が得られた
●春にかもめ島に遊びに行って、仲間たちとシミュレーションしてみます
●自分もこんな仕事をしてみたい、観光業に興味を持ちました
かもめ島マリンピングから江高のみなさんへ
皆さんとは2023年度も『OKAERe南ひやま学』で関わっていく予定です。
1年生の時の経験を、さらにステップアップさせた授業を楽しみながら進めていきましょう。
皆さんの積極性と発想力には期待しています。
島で会ったら気軽に声を掛けてください。いつかSUPもやろうね。
江差で素敵な高校生活の思い出をつくってほしいです。
そのために私たち「海と日本PROJECT」も精一杯、頑張りますよ!